天池志津子シナリオSS・礼拝堂〜指導室編

  • 2008/04/21(月) 13:29:51

天池志津子シナリオSS〜礼拝堂・指導室イベント

*分岐点中に入ります

#礼拝堂
そろそろ夏も近いなと思う日。
「先輩。すみませんが、手伝ってくれませんか?」
白に呼ばれた。礼拝堂に行くとシスター天池が待っていた。
「どのようなご用件で?」
「高い場所のお掃除を」
白には無理な相談だ。だから俺を呼んだのか。すっかりこの頃はローレルリング構成員と化しているが成り行き上仕方ない。

「あそこですね」
シスター天池が指差すのは天井近くのステンドグラス。見ての通りかなり高い。ハシゴでないと無理だ。
さっそく脚立(開くとハシゴ状になるタイプ)を用意し、さて孝平が登ろうと足をかけるが・・・
「私が上ります」
「いや、俺が上がった方が、背が高いし何より落ちても」
頑丈だから、そう言うつもりだった。しかし
「生徒を危険に晒すわけにはいきませ」
断られた。まあ確かに生徒に何かあったら責任を問われるのは先生たる彼女だが、一人前扱いされいないことが少し悔しい。
脚立を広げてハシゴに変形させ、そこをシスター天池が登っていく。
それを支えるだけではただのコンクリートの土台と変わらないので、立派な生命体たる孝平は彼女の後姿を鑑賞。
「・・・」
・・・いや、そそるんですが。特にスカートからヒップのラインがばっちり見える。
でも、俺はやましい気持ちで見ている訳ではない。支えている立場上、安全のために離れることができないだけだ。うん。勝手に納得。
「あれ、ちとヤバくはないか?」
なんかハシゴが立て掛けた逆側に折れているように見える。
「は、支倉くん!」
「あっ」
ハシゴ形態にしたとき、留め金をはめるのを忘れていた。何たる致命的ミス!
そうなると後は重力の法則に従うだけ。アイザック・ニュートンを恨んでも始まらない。
「きゃぁぁぁ!」
次の瞬間、上からシスター天池が落ちてくる。受け止めねば。
両足を踏ん張り、両腕に力を込める。腕力と脚力には自信がある。大丈夫だ。
・・・あれ?なんか落ちてくる角度とポーズが俺の予想と少し違・・・

ドスン。

・・・ちくしょう、仕様変更できるような時間はないのかよ・・・

 暗い。目を開いても何も見えない。真っ暗な不思議な空間。
・・・これってもしかしてあの世?
真っ暗な上に息苦しく、その上体が重い。何か物凄い圧力で押しつぶされるかのようだ。
・・・落ち着け。何があったんだ?目がダメなら他の五感を使え。
鼻に経験したことが無い香りが流れ込んでくる。暖かくて、柔らかくて、でも甘ったるい濃厚な香り。
気絶はそうな濃厚な香りに反応したのか、目が慣れてきた。うっすらだけどどういう状況だか掴めそうだ。
「・・・黒?」
目と鼻の先に布地が見える。暗いけど、なんとか色もわかる。黒だ。
「いい加減になさい!」
叫び次の瞬間、頭部にまるで装甲版で殴られたかのような物凄い衝撃が走り、再び視界が暗転する・・・

「・・・?」
「気がつきました?」
目を開けると、見慣れたツインテール。白だった。
「すっごいタンコブですね」
猛烈に痛い頭をなんとか引き上げ、起き上がって鏡を見るとマンガみたいなタンコブ。
その上にこれまたマンガみたいなバッテンばんそうこう。
「いてて・・・何で俺、こんな状態に?」
「懺悔の結果です」
隣にはシスター天池が怒りモード半分で立っている。
「ええっと、俺?」
「ふ、不問にしておきます」
その上、わなわなと震えている。何があったんだろう?
「でもすごいですね、先輩」
「何がかなあ?」
「シスターを受け止めてながら修道服の中に・・・もごもご」
「白ちゃん、それ以上言ってはダメですよ」
状況説明者は現在口封じされてるが、孝平には自分がやったことがなんとなく判った。
「すみません!悪気はありませんでした!不可抗力でした!まさかスカートの中に入り込むなんて俺は!」
謝る。もう謝るしかない
「も、もちろん黒い下着なんて見て・・・」
「は・せ・く・ら・く・ん?」
・・・俺、ちゃんと謝ったよな?ちゃんと不可抗力だと認めたよな?
「罰として、私の仕事の手伝いを命じます」
反論不可。まだ十代の身空で死にたくない。
「ふぁいとですよ、先輩」
白の応援が心に染み渡る。みんなの笑顔のためにこの不肖・支倉孝平必ず生きて帰るぞ。

#指導室
「へぇ、ハイテク」
「時代は待ってはくれませんから」
指導室。壁際の机にはプラズマディスプレイ付きのパソコンがでんと鎮座している。
中央には机を挟んで椅子。
「ずいぶんと大型ですね」
「生徒達に状況を知らせるためです」
なるほど、生徒が座るだろう下座側からでもディスプレイに何が表示されるかよくわかる。
しかし、古式ゆかしいシスターが、最新のPCを操る様は見ていてなんとなく
「ギャップを感じられるでしょうね」
・・・そのとおりです。はい。
「でも、千人を越える生徒達を把握するにはノートではとても賄いきれません」
カタカタとキーボードを打ちながらシスター天池が説明する。
「把握ですか」
「カウンセリングをするには、一人一人の「立場」を理解する必要があります」
説明は難しいが、大変な仕事だということはわかる。何せ相手は千人を越える生徒。
「だから、PCを使うんですか」
「そうですね。慣れると便利なものですよ」
「とすると、やはり学院のPCを繋いでデータを集めてるんでしょうか?」
ネットワークの基本だ。しかし意外な答えが返ってきた。
「このPCは、他の学院にあるPCからは独立させています」
そこでシスター天池の顔が憂い、PCを打っていた手も低速になっていく。
「私が赴任してすぐの頃までは繋いでいましたが、ある事情から独立させることになりました」
「ある事情?」
更に疑問が、修智館学院には立派なホームページもあるし、そこには学院の歴史とか珠津島案内とかのコンテンツもあるのに。
「・・・学院や珠津島の一部のデータが意図的に改変されているからです」
そこでシスター天池の指が止まった。
「改変って、どうして?」
「理由はまだわかりません、ですがおそらく、改変しないとまずいデータを持つ人がいることは確かです」
データを改ざんしないとならない人間。データといっても○○学校から○年度入学とか、どこのクラス所属、後は顔写真程度しかないのに。
・・・あ!・・・いた。そういうデータを持つ人を。

『最高年齢更新だよ』

・・・会長だった。他の人と年齢がぜんぜん違う。ひょっとすると瑛里華も。
会長が過去に何をやってきたかはわからないが、もしかしたら吸血の事実とかも改変してるかも知れない。
「どうしました?」
孝平は無意識に真実を知った者の表情になり始めている。
「い、いえ」
必死にそれを覆い隠す。
「事情はどうであれ、自分の都合のいい方向に、過去を改ざんする者は許せません」
じっと向き直る。
「自分だけが辛い思い出を持っていると思ったら、大きな間違いです」
厳しくも、優しい部分を込めた言い方。本当にシスターなんだなと思う。
・・・そんな正義感の強い彼女に
「言うべきなのか?」
礼拝堂で伊織がしていた事。それは女生徒を襲って吸血していた事。
彼が記憶を消しているとはいえとても褒められた行為ではない
そもそも礼拝堂をそういう理由で使用する自体まずいことだ。
「言わざるべきか?」
もちろん伊織からは口止めされている事は重々承知。下手をすれば何をされるか判ったものではない。
ましてやシスター天池は俺と同じ普通の人だ、とても相手にはならない。
「今は、言えない、言ってはならない」
だが、いつかは言わねばならないだろう。その「予定」は孝平に重くのしかかる。
「どうしました?」
心配したのだろう、シスター天池が話しかけてきてくれる。
同時に彼女が足を組みなおす。修道服の上からでも体のラインがわかる。
「い、いえ、大きいなと思って」
とっさに話題を変えようとシスター天池の目ではなく、胸に目をやる。
・・・うわっ、やっぱり大きいや
体のラインが出にくい修道服を着ていてさえ、桐葉よりも胸が大きいことがわかってしまう。
「え、えっと・・・」
「どんな話でも、悩みでもいいんですよ?」
「何カップですか?」
「支倉君、懺悔は宜しいですか?」

「口は災いの元」
昔の人はやっぱり偉大だな・・・嗚呼、今日はお説教だ・・・


*あとがき
実はこっちの方がHイベントより先なんですよね(:^-^)
(浴場→体育祭→礼拝堂)
投票支援のおかげで順番が前後してしまいましたが、そのうち順番をそろえますので。
まあ、目標は「打倒本家」で志津子さんシナリオの完成ですが、できるかどうかは未定です(殴)

天池志津子シナリオSS・Hシーン(2)

  • 2008/04/17(木) 23:35:29

#注意
このSSはまたもや18禁です。
お怒りです(汗)

#監督室

「シスターが俺達の秘密に感づき始めてること、判ってるのか?」
珍しく征一郎が話を切り出す。
「判ってる、だがこれ以上、志津子ちゃんに踏み入られてもらうわけにはいかないんだよ」
「母親と同じ轍を踏むという訳か。親心か?お前らしくもない」
「何とでも言ってくれ。だが俺にだってトラウマぐらいはあるぞ?」
そう言うと、窓側を向いて礼拝堂を見てみる。いつも通りだ。
「踏み入れずに済む一番の策は、その人を安全な所に逃がすこと。幸いあの方はこの島から外には出ない」
「シスターを安全な場所に逃がす仕掛けに、支倉も使うのか」
征一郎はやれやれとも、困ったものだともつかない呆れ顔をしている
「つまり、お前は最後まで悪人で通す気か?」
「どうせ俺は罪被りの吸血鬼、だったら悪人は俺一人がやれば充分さ」
笑みさえ浮かべて平然と悪人になろうという伊織と、呆れつつも付き合ってやるよという表情の征一郎。
「兄さん、征一郎さん、何話してたの?」
瑛里華と白がやってきた。話し合いは一旦中断だ。
「さて、本日、我が愛しの妹にはこの賢き兄と終日デートする権利を与えよう」
バシっと決める伊織。しかしなぜか瑛里華方面が物凄く熱い。まるで溶岩の近くにいるようだ。
「失せろバカ兄貴ーーーーーーー!!!!」
「あぴょーーーーーーん」
今日も天空の彼方に飛んでいく伊織。
「先輩、今日は一段と角度と勢いが凄いですね」
「白、分度器と巻尺を持ってくるのはやめろ」
自分の妹が怪しい方向に歩いてることを自覚せざるを得ない苦労人・征一郎だった。

「さぁて、被告人支倉こーへーよ」
何で寮の中に取調室があるのかは生徒会に聞くといい。
「この横綱刑事かなでがいる限り、キミの悪事はお見通し」
本物の横綱刑事は、話を見るとモンゴル生まれだし、ずっと巨漢なんだが気にしてはいけない。
「俺、何もあくどい事はやってませんけど」
生徒会でイロイロやってることについてはほぼ全てが会長の責任だと、部下の孝平は思っている。
「あー、へーじ君、例のものを」
「へいへい」
「待て、そこの八幡平」
「すまんが、今の俺はうどんセットで買収された身。お前の味方はできんな」
ニヤニヤ笑いながらかなでの命令を実行する司。何て安い寝返り報酬だ。
「お待ち」
でん。と孝平の目前にカツ丼が置かれる。
「しくしくしく・・・孝平くんがあんなひどい人だったなんて・・・しくしく」
目薬を持った陽菜もやって来る。なんかバリバリに嘘泣きしてませんかこの人!
「酷いやつだ、悠木を泣かせるとはな」
「ストライクフリーダム風紀シールもの!」
むちゃくちゃな補正がかかるシールなんだろうなと、無駄に冷静に孝平は想像した。
「ええと、俺は忙しいし、無実なんで帰らせてもらいます」
よくわからない取調べに付き合えるほど暇ではない。孝平は立ち上がり、部屋を出ようと3人に背を向けた。
「ほほう、まるちゃんの所ですか?この年増殺しさん?」
「ぶはっ!」
ドアに思いっきり顔面をぶつけた音が取調室に響き渡る。

「大丈夫ですか?」
「い、いえ、自業自得ですから・・・」
礼拝堂。いるのは孝平とシスター天池だけ。白は空気が読める子なので雪丸を散歩させに行ったらしい。
「それより、今日は少し街に行かないといけません。一緒にどうですか?」
「行かせてもらいます!」
瞬時に承諾。シスター天池としてもこの反応には笑うしかない。
「では、着替えてきます、覗いたり襲ってはダメですよ」
後半部分がやりたくなったが、さすがに前置きされては手が出せない。あきらめよう。

「お待たせしました」
「いへ、待っては・・・え?」
白いノースリーブに青いロングスカートという清潔感溢れるいでたち。
「似合いませんか?」
「い、いえ、滅相も無いです!」
いつも修道服だから、こういう私服姿は本当に貴重。
「でも、何で私服なんですか?」
「・・・女の人に、そういう事を言わせるのは卑怯ですよ」

*追記側に続きます

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天池志津子シナリオSS・Hシーン(1)

  • 2008/04/14(月) 18:45:49


#注意
このSSは思いっきり18禁です。

18禁部分は追記側に分離してますので、間違って踏まないようにしてください(^_^;

FORTUNE ARTERIAL
天池志津子シナリオ−イベントH−1
吸血鬼と聖女


#監督室
「行きます」
「志津子ちゃんのところにか」
「はい」
孝平の決断に伊織は半ばあきらめ顔で答える。
「・・・止めないんですか?」
一応聞いてみた。確か天池先生の母親は伊織の元恋人で、天池先生はその母親そっくりだという話だった。
「俺には資格そのものがない、スタートラインに立てないんだよ」
自嘲気味に伊織が言う
「そんなことは」
「支倉は礼拝堂の出来事は覚えているかな?」
・・・はい、覚えています。はっきりと
「ああいう事をする俺を、志津子ちゃんは許すと思うかい?」
「記憶を消しているなら」
「それを今の世間じゃ、偽証罪というらしいね」
一言一言にため息すら混じっている。
「吸血鬼な上に、礼拝堂の不法使用、傷害罪に偽証罪」
・・・これじゃ俺も「あの方」の事をとやかくは言えないな・・・
そして、伊織は孝平を見据える。
「だから俺は、志津子ちゃんの母さんを幸せにすることができなかった
でも、支倉君は吸血鬼でもないし、罪を背負っているわけでもないんだよ」
ここから伊織は何も言わなくなった、つまり「行け」の意味。
「わかりました」
そして孝平は礼拝堂に向かう。
「いいのか?」
征一郎が伊織に問いただす。
「普通の人間に憧れる。そんな事を思ったのは久しぶりだな」
「お前らしくもない、いつもの自信はどうした」
「何、人類は支倉だけじゃないってことさ」
彼は開き直ったかのように笑っていた。

#礼拝堂
扉を開けてみる。中央の祭壇で一人祈りを捧げる女性。
彼女はステンドグラスを潜り抜けた光に包まれている。
「いらっしゃい、何か相談でも?」
落ち着け俺。会長並みの豪胆さと東儀先輩並みの冷静さを持つんだ。
「とても重要なことです」
「奇遇・・・ですね。私も重要なことで神に相談していました」
なんだか態度がいつもと違うような気がする。でもそれは俺も同じ。
「孝平君はこちらへ」
祭壇の中央に掲げられた十字架。それを挟んで孝平と志津子が左右向き合う形で立つ。
「・・・・」
相手はずっと両手を組んだまま、祈り続けている。いや、懺悔にも見える。
「・・・・」
孝平も全く同じポーズ。そして無言。光だけが差し込む場所で、二人だけが両手を組んで祈り続けていた。
ステンドグラスからの光の差込みが変わるその時まで。
「シスター・・・いえ、天池先生」
「支倉・・・いえ、孝平君」
唐突に、二人が全く同時に、同じことを言った。違うのは名前だけ。
「どうぞ」
この言葉も二人同時。同時に苦笑するしかない。
・・・こうなったら度胸と勇気だ、言える全てを言え!

「俺は、貴方が欲しい」
「私は、貴方が欲しい」
同じ答えだった。違うのは「好き」でなく「欲しい」。そして以前に礼拝堂で告白した時にいた他の人間がいない事。
「俺は、欲しい。シスター天池でも、天池先生でも、そして天池志津子さんでも、みんな欲しい」
言葉を続けたのは男である孝平の方だった。
「孝平君は欲張りですね」
「あははは」
「ふふふふ」
二人とも笑っていた。どこまでも晴れやかに。そして何者をも振り切った明るさで。
一しきり笑いあうと、志津子が崩れるように膝をつく。鏡でも入ってるかのように孝平も同じ姿勢。
「ん・・・」
キス。最初は唇だけ、しかしすぐに二人の手がそれぞれの背に回り。唇よりも深く、優しく、包まれていく。
ビロードのような絨毯の上で、二人のキスは続いていた・・・

(追記へ続く)

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天池志津子シナリオSS・体育祭編

  • 2008/04/11(金) 21:10:42

FORTUNE ARTERIAL
天池志津子シナリオ−体育祭編(イベント:5/11)

体育祭前日、謎の場所(笑)
「ふぉっふぉっふぉ、おぬしもワルよのぉ」
「いえいえ、お代官様には敵いませんよ」
別に時代劇ではない。ついでに言うとこれはかなでと伊織の会話だ
「いおりんは大船に乗った気分でいたまえ」
びしっと胸を張る。とはいえ伊織よりもかなり低いのでイマイチ迫力には欠けるが。
「こういう時はやっぱり悠木姉だな」

そして体育祭も終盤近く。

「次の競技、孝平君の出番よ」
「俺が出る?」
そんな競技あったか?自問自答する。
「えりすぐりの精鋭が必要な男達の熱き競技なんだって」
俺って精鋭だったのか。孝平は今になって自分の能力に気づいた。
「孝平君は会長の演説聞かなかったの?サプライズ競技だっていう話」
そういえば伊織会長が何かものすごい演説をしていたらしいが、不運にもその時はトイレに行っていたので孝平には窺い知れない。
しかし、勝手に競技を追加するところがいかにも会長だなぁと思うし、その追加競技に自分をエントリーさせるところもまた会長だなぁと孝平は思う。
「二人とも頑張ってね」
「行って来る」
司も「精鋭」の一員らしい。

「会長や東儀先輩も走るんですか?」
トラックに行くとやる気マンマンの伊織と渋々な征一郎が走者となっていた。
「俺は言っただろ?『精鋭達の戦い』と」
確かにこの二人は能力的にも人気的にも精鋭にふさわしい。
「支倉君、アピールのチャンスだよ」
伊織は親指を立てて孝平の目に周囲を向けさせる。観客、特に女性陣の注視が凄い。
「でも、勝つのは当然、俺だけどね」
・・・そう言うと思いました。

「よーい、ドン!」
観衆(特に女性陣)注目。人気者達が走るのだから当たり前だ。
今まで裏方に徹していた自分をアピールするチャンス。そう思うと孝平の走りも自然に全力を出し切るべく本気になる。声援が気持ちいい。
「?」
しばらく走ると机が視界に入ってきた。その上には何枚かの封筒が並んでいる。その真ん中にひときわ豪華な封筒。
「もらったぁぁぁ!」
これは当たりだ。そう野生の本能が叫び、瞬時に手を出す。
「甘いな、俺の勝ちだ」
が、その孝平の手の下にもう一本、別の手が入り込んでいた。
「何奴!」
手の主は司だった。いつもの雰囲気とは違い。速い。
「わりいな、楽をさせて貰う」
司の手にした封筒には「ボーナスチャンス」と金文字で書いてある。
「お前の負けだ」
我に返った孝平だったが、時すでに遅し。もう封筒は司が指し示した「大凶」と達筆な文字で書いてある一つしか残ってはいなかった。
「俺は負け組・・・」
落ち込む孝平と喜ぶ司。しかし戦いはまだ終わっていない。ゴールした時が終わりなのだから。

「マドリガル・ルイス・ラ・ヨハンセン・ド・ラグリエールを背負って走れ?」
何だ。このやたらに長くて訳がわからない名前は。
「留学生だな」
留学生というとやっぱり金髪でナイスバディなんだろうな、単純に期待する司。
「ぶーぶー!」
しかし、書いてある場所ではなぜかかなでがふくれて待ち構えていた。
「あのー、何か俺に問題でもあるんすか?」
「へーじ!キミはなぜこの悠木かなでの策を見破ったんだ!」
かなで的には封筒に堂々文字を書くのが策らしい。
「それより、このマドリガル(以下略)って留学生はどこっすか?」
なんかついていけない司はとっとと本題に移る。
「この方だ!」
ドラムロールと共に現れたのは・・・
「な、なんすかこれ!」
「へーじよ、お前の目は節穴か!」
でんと司の前に居座っているのはパンダ。もちろんナマモノではなくて置物だが。
「パンダ」
「うむ、日中友好のためにへーじも一肌脱ぐのだ!」
「ぬぉぉぉぉぉぉぉ!」
意味を理解した司はパンダを担ぐ。重い。これが日中友好へ向けての課題の重さか。
「北京オリンピック!」

「謀ったな、伊織」
征一郎の前には長い黒髪の女生徒が腕組みをして立っていた。
「・・・ふぅ」
思いっきりやる気がない。
「すまんが、これもルールだ」
「そんなの、つまらないわ」
一番説得しにくそうな相手を俺にあてがうとは、征一郎の中でまた伊織への好感度が低下した。

「何だ、瑛里華かよ」
「何だとは何よ、兄さん」
「だってさ、綺麗な女の子をお姫様抱っこして走れる!と思ったのに、自分の妹なんて面白くも何ともないじゃないか」
お手上げのポーズといかにもつまらなさそうな表情で伊織が愚痴る。
「・・・悪うございましたね、あなたの妹で」
「おかしいなぁ、瑛里華は支倉がお姫様抱っこする予定だったのに・・・」
「兄さん、自業自得って言葉知ってる?」

「うわっ、壮絶・・・」
司や他の漢達の凄い状況を横目で見ていると、「大凶」なんて封筒を持っている自分に何が起こるのやら想像するだに恐ろしい。
「ええい、俺も男だ!」
勇敢にも孝平は封筒を開ける。中にはなぜか風紀シールが貼られている紙が一枚。
「この文章は、こーへー以外の人が読むように」
・・・って、俺はその「こーへー」なんですが・・・
読まないと進めないし、まさか「封筒の中身を変えてくれ」と言うこともできない。ルール違反だ。
「仕方ない、行くか・・・」
その時、孝平の目は死んでいた。

「あのー、シスター」
「どうなされました?」
鯖の目になっている孝平がたどり着いたのは教員席。
「いえ、大変申し上げにくいことですが、ルールはルールですので」
やたらに卑屈になっているが、いかんせん中身が中身。まず正当性を主張しておく。
「大凶?」
さっきの封筒を見ていかぶるシスター天池。大凶の相手がキリスト教徒というのも何というか皮肉なものだ。
「それで、その手紙にはどうすべきと書かれているんですか?」

『まるちゃんをお姫様だっこして走れ』

「あは、ははは・・・」
「ははははは・・・・」
二人のおそろしく冷たい笑い声が教員席に響く。
「ははっは、面白そうではないですか、支倉、頑張れ」
この状況を見てればいいだけの青砥先生は気楽なものだ。
「す、すみません!」
優勝を賭けた戦いから逃げることはできない。卑怯な人間ではないと自覚する孝平には自チームのために戦うという選択肢しか残されてしなかった。
「え、ええ?」
勝利のため、卑怯者と呼ばれないためには恥も外聞もない。
「行きますよ!」
気合を入れてシスターを抱える。二人の身長差が11cmしかないのでかなり難しい。
「あ、あの・・・」
「動かないで下さい!」
もうこうなったら命令口調もご容赦。まともに走ってゴールにたどり着くのが最優先事項なのだから。
「・・・」
そもそもお姫様だっこというのが両腕に結構無理をかける態勢だったりする。
しかも走ることによる揺れで彼女を支える両腕がズレるし、ビロードのような修道服がこれまた滑り易いので何重の苦労が孝平に重なっていく。
「くっ・・・」
走りながら持ち直す。そのたびに彼女の顔が孝平に近づき、彼女の体が孝平の皮膚感覚を刺激する。
時折両腕に大きくて柔らかいものを感じるが、それを相手に知られたらマジ殴りだ。
必死に別のことを考えようとする。でもついついシスター天池に目が逝ってしまう。
・・・綺麗な人だなぁ・・・
同じ綺麗でも瑛里華とは全く逆。色で言えば紅と藍。
・・・聖なる美しさってものなのかな?・・・
そうだ、千堂瑛里華は吸血鬼だからどうしても「魔」の印象を感じる。
監督室で見たスイッチが入った彼女は正に「魔」だった。
対して天池志津子という人はシスターということもあって正真正銘の「聖」。
・・・そんな聖なる人と、吸血鬼が何で共存しているんだ?・・・
わからない。今の自分にはこの学院や千堂という存在のほんの一滴しか見ていないのだから。
「あの?支倉君?」
「は、はい!」
「もうゴールしましたので、下ろしてくれません?」
・・・あれ?
孝平の頭脳が色々と考えている間、孝平の両腕は必死にシスター天池を支え、両足は必死にゴールへ向かって突き進んでいた。
「すごい、トップよ!」
陽菜、そして同じクラスの他の面子が駆け寄ってきた。
「え?」
「まったく、お前と来たら」
司もいる。彼の隣にはなぜかパンダの置物が鎮座しているが。
「ゴールした後もシスターを抱えっぱなし。よくフライパンで殴り殺されなかったな」
「あ、あはははは」
全身に冷や汗が噴出してきた、ついでに体が震えてきた。
「こほん」
「すみません!」
シスター天池に向き直り、ひたすらに平謝り。
「し、使命のためにやったことですし、今回は不問にしておきます」
そう孝平に告げるシスター天池の顔はちょっとだけ顔が赤い、少なくとも孝平の心はそう感じ、腕は彼女の柔らかい感覚をしっかりと記憶していた。

「で、悠木姉」
「何かね、ワトスン君?」
「まさかこういう結果になるとは」
焦げ臭くなっている伊織がかなでに問う。
「いや、兄妹愛もいいではないか、そう思わないかね?」
やっぱり自分でするしかない。そう伊織は思った体育祭だった。

#あとがき
*体育祭イベントです。
本来は封筒を選ぶところに選択肢を入れ、なおかつ美術部部長も出して
→志津子さんを孝平が、部長を司が運ぶ
→部長を孝平が、志津子さんを司が運ぶ
という形にしたかったのですが、話の展開がいまいちうまくいかずボツ(^_^;;;
後、お姫様だっこというと「小柄なヒロイン」ですが、たまにはその逆を狙ってみるのもよいかと(笑)

FORTUNE ARTERIALキャラコン応援バナーサイト(複数編、4/8)

  • 2008/04/08(火) 21:00:42

ばなーさいとなのだ(本家からの借り物)

こっちは複数バナーのサイトです(4/8現在40サイト
*こちらは組み合わせの種類が多すぎるので個別集計はしません(^_^;
1位2位の順もありますが、収拾がつかなくなるのでキャラ順でまとめました(汗)

#2人(23サイト)

*瑛里華+白
現実逃避とか好きだから!ς/トアさん
M2D。Marriage to 2 dimensions./あられさん
†SOS団†/スパ〜クさん(23日付け)

*瑛里華+かなで
すわ郎の小屋/すわ郎さん

*瑛里華+陽菜
夜空の月を見上げながら/トゥルペさん
翡翠の颯颯と旋律を奏でる世界観/翡翠さん(陽菜FC本部)
ただひたすらに、まっすぐに/こうさん

*白+桐葉
葉桜の映る月−Cherry Moon−/月の民さん&瑠依さん

*白+かなで
しろブロ/ましろさん
閑話休day。/たいやきさん

*桐葉+伽耶
茅埜の夕暮れ/茅埜さん

*桐葉+部長
まったり空間/やまぐうさん

*かなで+伽耶
境界線の中心/遊馬さん(かなでは28日付け)

*かなで+志津子
ブレイクヘッド/Nブライアンさん

*陽菜+伽耶
傭兵の隠れ部屋/傭兵フィアさん

*陽菜+部長
ちょっとしたこと/mirvさん

*陽菜+雪丸
風の小部屋/セティさん

*陽菜+ランダム
St.Aquarius/水上 透さん

*伊織+征一郎
L'ESPERANZA/fzさん

*伊織+雪丸
W.N.Central Station/WestNozomiさん

*伽耶+雪丸
徒然なるままに/紫水晶さん
葉月陽炎/陽炎雄輝さん
夢の跡…/

*正則+志津子
そらにうかぶ砂時計/けん☆ヴェルイマン大尉さん


#3人以上(18サイト)

*瑛里華+白+陽菜
初音島情報局/由喜さん

*瑛里華+伽耶+部長
GamePaper/Nicoさん(23日付け)

*瑛里華+伽耶+雪丸
目指せ、パチンコ収入目標月10万。年収100万の奇跡/シュンさん(27日付け)
#十六夜の月を見上げる/十六夜咲夜さん(7日付け)

*白+かなで+陽菜
#新%林的資料庫/%林さん(%は峠から山へんを取った文字)

*白+陽菜+伽耶
東方Projectを愛すotaku☆中学生/一花さん

*伽耶+部長+雪丸(伽耶と部長は25日付け)
ゼロの館/桜庭才斗さん

*瑛里華+白+伊織+征一郎
Lapis Lazuri/碑なたさん(25日付け)

*桐葉+かなで+陽菜+雪丸
今日のフォアテリ/Rhinoさん

*かなで+伊織+征一郎+伽耶
月世界/白鳥祈璃さん(本館側)

*かなで+陽菜+部長+雪丸
M−A−T 別館/ふみぃさん

*ヒロイン5人
Kのお気楽な日記/yukizakura-sakiさん
HolyPalace/聖城竜王さん

*主人公以外のメイン8人
たっかしのチラシの裏/たっかしさん

*全員(!)
ALL SURE/リリーナヒーローさん
いつか、暁が瑠璃に煌めく、あの空に。/美桐砂糖八さん

*ランダム
CANDYFORCEWWW/織倉宋さん(MENU部分)
時の棲む森/早坂充さん

・・・組み合わせがものすごいことに・・・(^_^;;;
しかし、個人別も含めて台湾や韓国の人のサイトまで貼り付けられるとは・・・

ま、まだなんですかっ(゚_゚;)

変更とか追加とか見つけたという方はレスくださいませ〜(^_^;